野外での演奏は、今回はじめて。

響きの全くない場所で、しかもイタリア語。

唯一の音の頼みである、テオルボの音は、とても繊細なので、砂利の上を歩く音などの周囲の雑音に混じってしまって、思うようには音が届かず・・・

この条件の中で、自分にできることは何か、どうしたらお客さんに、演奏を楽しんでいただけるのか・・・

悩み考えたあげく、音をどうにかしようとしても無理・・・それならそれでもう開き直って、聴いている方々に歌の持つ世界観を伝えたいという、その一心のみで、ひとりひとりに語りかけるように、そのことだけを心がけました。

いまここにあるものがすべて。飾らず気取らず自然体。あるがまま。

それが良かったのか、聴いてくださったお客様からは、歌う時、とてもよい表情で、情感豊かに奏でられていた。イタリア語は理解できなくても、伝わってきた。音楽の持つ意味、大切なものを感じた。という、本当に嬉しすぎる、素敵すぎる、涙が出るほどにありがたい感想をいただきました。

未熟な身分ながら、そのようなお言葉がいただけたことに、心から感謝の気持ちです。

そして、今回の経験から得た事は、私にとって、とても大切な宝物になりました。

2019.11